噛み合わせ治療、新神戸歯科|藤井佳朗 — 不定愁訴に対する咬合治療中に認められた脊柱前後彎曲の変化と東洋医学的考察

院長藤井佳朗

院長紹介
藤井佳朗日本医用歯科機器学会理事
噛み合わせと全身との関連
を考える会顧問
日本歯科東洋医学会
日本歯科保存学会など、
参加学会多数。
■著書■歯科からの逆襲
咬合のマジック など

歯科からの逆襲

学会発表

過去の学会発表をご紹介します。

不定愁訴に対する咬合治療中に認められた脊柱前後彎曲の変化と東洋医学的考察

【目的】

歯科治療、特に咬合が全身に対して大きく影響し、全身姿勢に対しても影響が及ぶといわれている。そこで、今回は、脊柱の前後 彎曲について、特に咬合の変化がどの程度影響するのか、またそれが各種不定愁訴などの不快症状の緩和にどの程度効果的か、また、東洋医学的にはどの評価で きるのかを精神的不安定を主訴とした成人女性への歯科治療を例に検討したので報告する。

 

【症例】

患者は22歳の女性で、主訴は精神的不安定。その他の愁訴としては顎はなる。肩こり、首筋の凝り、寝起きが悪い、不眠、目が疲れる、目が渇く、疲れやすいなどであった。現病歴は、役3年前に交通事故で顔面を強打し、それ以降左側での咀嚼が困難となった。

これまで大学病院や開業歯科医院にて治療するも効果なく、生理もこの2ヶ月なし。最近になり精神的苛立ちが激しく、理由もなく母親に食ってかかることが多くなり、アルコール摂取量も増加傾向を示していた。口腔内は、左側第2臼歯部の咬合状態が緊密で、下顎右方変位。良導絡所見はF系がH系よりも大きい逆転現象を示した。

 

【治療】

下顎左右移動を阻害している要因を上顎左第2臼歯頬側咬頭内斜面と判断し、当部位の削去を実施。

オーバーバイト状態を緩和した。

 

【結果】

治療開始後3日程で、メルゲン反応と思われるけだるさや眠気が出現したが、10日程で軽減し、その後はむしろ爽快となった。左側での咀嚼も可能となり、治 療開始後2週間でイライラはかなり軽減し、各種不定愁訴も軽減し、生理も復活した。良導絡の逆転パターンも消失し、脊柱の前後彎曲は初診時に比べ減弱した。

 

【考察】

精神的不安定を主症状とした不定愁訴に対して、左側における咀嚼を容易ならしめることを目的とした咬合調整により、精神状態が改善し、その他の不定愁訴も 軽減した例を経験した。かつて経験した交通事故が引き金になり、左側での咀嚼困難が生じ、右側に偏った咀嚼により、下顎が右方変位した為、あらゆる愁訴が 出現したものと思われた。
良導絡は、古典鍼灸の経路と類似しているが、心因的ストレスが強い場合、足の良導絡のF系が手のH系より高値を示すいわゆる逆転現象が生じるといわれてい る。本症例も、患者が精神的な落ち着きを自覚すると同時にこのパターンが消失した。また、初診時とくに目立ったのが肝系の高値である。黄帝内経素間陰陽応 象大論篇第五によると、五臓の気は五志を生じ、肝は怒りを主るとされているので、理由もなく母親に食ってかかるといった行為が肝系の高値にあらわれた可能 性もある。心因的ストレスに対する、咬合治療の効果を数値で推察できる良導絡測定は、有用性が高いと思われた。また、脊柱の前後的形態にも咬合治療が影響 することも明らかとなった。今後さらに症例を増やすと同時に、医科との連携も深め、各種検査を実施することにより医学的根拠を樹立し、その作用機序などを 検討する必要があると思われる。

 

 

1996年11月9日
第14回:日本歯科東洋医学会学術大会
会場:大阪・千里ライフサイエンスセンター
藤井歯科(名古屋市)
藤井 佳朗


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