噛み合わせ治療、新神戸歯科|藤井佳朗 — 三叉神経痛に対する咬合治療と漢方との併用経験

院長藤井佳朗

院長紹介
藤井佳朗日本医用歯科機器学会理事
噛み合わせと全身との関連
を考える会顧問
日本歯科東洋医学会
日本歯科保存学会など、
参加学会多数。
■著書■歯科からの逆襲
咬合のマジック など

歯科からの逆襲

学会発表

過去の学会発表をご紹介します。

三叉神経痛に対する咬合治療と漢方との併用経験

【緒言】
三叉神経痛は、他の疾患が原因で神経痛様疼痛を生じる仮性三叉神経痛と、原因が不明の真性三叉神経痛とがあり、真性三叉神経痛には、薬物療法、理学療法、 神経ブロックなどが紹介されている。今回、演者は真性三叉神経痛と思われる症例に対し、スプリントによる咬合治療と、漢方エキス製剤との併用を試みたので 紹介する。

 

【症例】
61歳、女性。数週間前より、一日に数回にわたって右側顔面の電撃性疼痛発作が発生するようになった。脳神経科を受診し、三叉神経痛との診断を受けて内服 薬の投与を受けた。内服期間中、発作の頻度は減少したが、再び発作頻度が高くなり、さらに多くの投薬を受けた。やがて顔面を中心に浮腫が著しくなり、眠気 やふらつきも生じ、鍼灸院を受診し、歯科治療をすすめられ、藤井歯科医院に来院。

 

【経過】
治療開始前、顔面を中心とした全身の浮腫と、顔面の紅潮がみられた。投与されていたテグレトールなど5種の薬物はそのまま内服しつづけたが、スプリント装 着3日後には顔面浮腫は軽減してきた。これより内服薬の量を除々に減らしたが、発作の頻度は減少し、7日後には発作は消失した。これより、テグレトールを 1日1回内服する以外すべての内服を中止した。2週間後、顔面浮腫はほとんど消失し、発作も全く発生しなくなったので、すべての内服を中止した。ただし、 四肢にまだ浮腫が残存していたため五苓散エキス製剤を、投与した。その後、紫苓湯エキス製剤を、内服している。現在、スプリント装着後3カ月以上経過した が、夜間のみの装着で発作はまったく起こっていない。

 

【考察】
咬合治療は、歯科における全身治療だが、症例報告も盛んに行われ、マスコミも積極的に取り上げるようになった。実際、これまで医科において難治性であった 疾患が、歯科治療によって、軽快する例も多いようである。しかしながら、作用機序に関しては、教育段階から医科と分離されているという背景なども影響し、 西洋医学的に解明が遅れている。しかしながら、東洋医学的には気・血・水の流れを改善する作用があるものと思われた。

 

【総括】
本症例は、テグレトールが奏功すること、口腔内に三叉神経痛を発生させるような大きな疾患が見当たらないことから、真性三叉神経痛と判断された。真性三叉 神経痛の治療法としてはこれまで咬合改変によるものは報告されておらず、スプリント療法が奏功したことは意義あることと思われた。

 

 

1992年11月15日
第22回 日本東洋医学会東海支部学術例会
会場:国立名古屋病院
RSAスポーツ歯学研究所、藤井歯科、吉川病院 藤井佳朗


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